トラックの排気ブレーキが壊れたら?原因や対処法を解説!

「排気ブレーキ」は、トラックやバスなどに搭載されており、エアブレーキの制動力をアシストする補助ブレーキの一つです。このブレーキがあることで、フットブレーキだけに頼らずに減速をスムーズに行いながら走行することができます。
しかし、排気ブレーキが故障してしまうと問題が生じる可能性があります。そのため、故障が発生した場合は早急に気づいて適切な対処を行うことが重要です。
今回の記事では、トラックの排気ブレーキの故障についての症状や原因について詳しく解説します。
目次
排気ブレーキとても重要な役割
排気ブレーキは、ディーゼルエンジン特有の補助ブレーキの一つです。
中型以上のトラックなど、車両重量が大きい場合には、通常のブレーキだけでは不十分な制動力が求められます。そこで、強力な制動力を発揮するエアブレーキが採用されています。
そして、このエアブレーキの制動力を補助し、より安全な運転をサポートするのが排気ブレーキです。
排気ブレーキの仕組み
排気ブレーキは、走行中にアクセルペダルから足を離したときに作動します。
このブレーキは、特定のバルブ(フラップやバタフライと呼ばれる)を閉じることで、エンジンからの排気を制御し、エンジンブレーキを効果的に発揮させます。
ただし、排気の圧力が高くなりすぎてエンジンの排気バルブが押し開かれて逆流することを防ぐため、完全にバルブを閉じるのではなく、フラップに小穴や別の圧力調整弁を設けて、一定の圧力以上にならないように調整されています。
排気ブレーキを使わずにエンジンブレーキだけで減速しようとすると、車両の減速力が不十分となり、フットブレーキへの負担が大きく増加します。
フットブレーキへの負荷が増加すると
- ブレーキが効かなくなるフェード現象やベーパーロック現象が起こる
- ブレーキシューなどが消耗され、メンテナンスに費用が掛かる
といったリスクが発生します。
トラックやバスなど、重い車両では、安全性を確保するために排気ブレーキが採用されています。
排気ブレーキはエンジンブレーキの減速力を強化し、エアブレーキに頼ることなく効果的な減速を実現します。そのため、排気ブレーキは非常に重要な役割を果たしています。
トラックの排気ブレーキが故障したらどうなる?

トラックの走行において排気ブレーキは減速に非常に効果的ですが、故障すると減速がスムーズにできなくなる可能性があります。
排気ブレーキは作動すると制動力をすぐに体感できるため、故障が発生した場合は運転中に気づきやすいです。特に4トン以上の中型・大型トラックでは排気ブレーキの使用頻度が高いため、動作不良で故障に気が付くことが多いでしょう。
ただし、2トントラックの場合は排気ブレーキの使用頻度が低いため、故障に気付きづらい傾向があります。
そのため、メーターパネルのDPF表示灯やエンジンチェックランプが点灯していたら、排気ブレーキに関連する問題が発生している可能性があるため、必ずチェックするようにしましょう。
排気ブレーキの故障原因とは
排気ブレーキ故障の主な原因としては、下記に該当するケースが多いといえます。
電子部品の不具合
排気ブレーキの制御を担う電子部品に不具合が生じると、排気ブレーキが正常に機能しなくなる可能性があります。
これにより、排気ブレーキの制動力が低下し、効果的な減速が難しくなるという問題が生じます。さらに、不具合が放置されると故障が進行し、排気ブレーキ自体が機能しなくなるリスクもあります。
排ガス汚れが排ガス浄化装置に溜まっている
排気ブレーキは、排ガスの汚れが排ガス浄化装置にたまると、DPF再生機能が作動する仕組みが備わっています。
このDPF再生機能により、排気バルブが閉じられて排ガス温度が上昇し、DPF内に蓄積された汚れが燃焼されます。
しかし、この機能が作動すると排気ブレーキが常に稼働することになります。それにより余計なエネルギーが消費され、排気ブレーキの効率が低下する可能性があります。
トラックの排気ブレーキの故障を防ぐための正しい使い方を知ろう
排気ブレーキを効果的に利用し、故障を避けるためには、正しい使い方が重要です。
フットブレーキの消耗を軽減し、安全かつ疲労の少ない快適な走行を心掛けましょう。
排気ブレーキは一般的な停車時でも減速に効果的ですが、特にトラックに積荷がある下り坂や高速道路などでの利用がおすすめです。
排気ブレーキは後輪に作用するため、荷物が空の場合は使用しないように注意しましょう。
荷物が空の場合、後輪タイヤの重量が不足しており、排気ブレーキをかけるとスリップしやすくなります。
まず、運転席の排気ブレーキスイッチをONにしましょう。走行中にアクセルやクラッチを戻すと、排気ブレーキが効果を発揮します。
一般的なマニュアル車では踏むとスイッチがOFFになり解除されますが、使用後は停止するのが大切なポイントです。これにより、排気ブレーキによる燃費の低下を防げます。
排気ブレーキのみでは減速が足りない場合は、エンジンの回転数に気を付けながらギヤをシフトダウンしたり、フットブレーキを併用することもおすすめです。
道路の状況や車速を判断して、最適な方法で排気ブレーキを使用することが非常に重要です。適切な操作により、トラックの走行を効果的かつ安全に行うことができます。
まとめ
トラックやバスに搭載されている排気ブレーキは、ディーゼルエンジン特有の補助ブレーキのことです。
この排気ブレーキは、アクセルペダルを離したときに作動し、エンジンブレーキの減速エネルギーを強化する役割を担っています。
正しく使用することで、快適な走行を心がけましょう。排気ブレーキは特に下り坂や高速道路などでの減速に効果的であり、フットブレーキの消耗を軽減するためにも重要です。
適切に操作し、安全な走行を実現するために、排気ブレーキの使い方をしっかりと理解し、運転に活用していきましょう。