トラックのエアサスの使い方!上手に使って快適走行を実現

エアサス(エアーサスペンション)は、現代のトラックに広く採用されている重要な装備です。エアサスは、圧縮エアを充填したゴム製のベローズと呼ばれる部品を使用して、衝撃吸収を行います。このエアサスペンションは、トラックの走行性能と乗り心地を向上させる役割を果たしており、トラックにおいて不可欠なコンポーネントの一つです。

エアサスは、運転席に設置されたリモコンを使用して操作することができ、トラックのサスペンションの硬さや高さを調整することができます。

今回はエアサスの使い方について解説していきます。

トラックのエアサスとは?

物理的にトラックの運行をサポートする安全で快適な足回りシステム。それが「サスペンション」と呼ばれるものです。

その中でも、エアを重要な要素として取り入れた「エアーサスペンション」(通称:エアサス)は、特に注目されています。このシステムは、ゴム製の部品を使用しており、運転中の衝撃や振動を効果的に吸収し、乗り心地を向上させる役割を果たします。

さらに、エアサスペンションの特徴の一つとして、充填する圧縮エアの量を調整できる点が挙げられます。これにより、トラックの車高を上げたり下げたりすることが可能です。

エアサスペンションを活用することで、運転席に備えられたリモコンを使ってトラックの車高を簡単に調整できます。これにより、さまざまな道路状況や荷物の積載に合わせて、最適な走行条件を維持することができます。

車高を調整できると、以下のような状況で便利だと感じることが多くなります。

荷物の搬入作業時

物流センターや他の荷物の搬入や荷下ろし作業を行う際に、トラックの車高を上げて荷台の高さとホームの高さを合わせることは、スムーズな作業を可能にする重要な要素です。

エアサスペンションには、このような作業を支援するための記憶機能が搭載されています。この機能により、同じホームを利用する際に、過去の設定を自動的に呼び出して車高を設定することができます。これにより、作業員は手動で車高を調整する手間を省き、効率的かつ迅速な荷物の積み降ろし作業を行うことができます。

勾配の急な斜面走行時

トラックの特性として、タイヤからパンパーやステーが大きくせり出しているため、小さな段差や勾配の強い斜面でも車体を地面に擦る可能性があります。しかし、この問題に対処するためにエアサスペンションが役立ちます。

エアサスペンションを利用することで、トラックの車高を上げることができます。特に坂道に入る際には、車高を上昇させることで車体を擦ることなくスムーズに走行することができます。これにより、トラックの下部にダメージを与えたり、路面に損傷を与えたりするリスクを軽減し、安全かつ効率的に運行することができます。

ウイングの開閉時

トラックのウイングを開閉して荷物の搬入や荷下ろしを行う際、天井の高さによっては作業が困難な場合があります。しかし、このような状況においてもエアサスペンションは非常に役立ちます。

エアサスペンションを活用すれば、トラックの車高を下げることができます。これにより、ウイングを開閉したときの天井とウイングの空間を広げることができ、作業効率が大幅に向上します。天井の高さに制約がある場合でも、エアサスペンションを調整することで、スムーズかつ効果的な荷物の積み降ろし作業を実現できるのです。

トラックのエアサスの使い方を知る

ここからはトラックのエアサスの使い方を解説していきます。

エアサスの使い方〈基本編〉

①サイドブレーキをしっかり引く

サイドブレーキの使用は、トラックの安全運転において非常に重要です。エアサスペンションを操作する前に、サイドブレーキを確実に引くことは必須の手順です。実際、一部のトラックメーカーでは、サイドブレーキを引かないとエアサスペンションの操作ができないように設計されていることもあります。

サイドブレーキを引かないままエアサスペンションを操作すると、トラックが動いてしまう可能性があり、これは危険な状況を生み出すことにつながります。ですので、ドライバーはサイドブレーキの使用を欠かさず、エアサスペンションの操作前に確実にサイドブレーキを引く習慣を身につけておきましょう。

②エアサスのスイッチをONにする

エアサスペンションの操作を開始する前に、エアサスのリモコンにある昇降装置のスイッチを入れ、その後コントローラーランプが点灯するのを確認しましょう。

ランプが点灯したら、エアサスの動作が準備完了した合図です。

この段階でエアサスの高さ調整などの操作が行えるようになります。

③車高を操作する

ランプが点灯したら、エアサスペンションのリモコンの「↑」と「↓」ボタンを使用して車高を上下して調整することができます。エアサスペンションは通常、前輪と後輪を個別に調整できるため、微妙な高さ調整もリモコン一つで容易に行えます。

④車高を元の状態に戻す

作業が終了したら、リモコンを操作して元の車高に戻しておきましょう。

⑤エアサスのスイッチをOFFにする

エアサスのリモコンのスイッチをオフにすれば終了です。

エアサスの使い方〈応用編〉

ここではトラックのエアサスの便利機能を紹介します。

記憶機能

物流センターなどで荷下ろしを繰り返す際、毎回ホームの高さにエアサスペンションを合わせるのは手間がかかりますが、エアサスペンションの記憶機能を利用すれば、この作業を簡略化できます。

エアサスペンションには高さを記憶させる機能が備わっており、高さ調節後に「M1」ボタンと「STOP」ボタンを同時に長押しすることで、車高を記憶することができます。このように記憶機能を使って車高を調整すれば、次回同じ高さに簡単に設定し直すことができます。

また、同様の機能を持つ「M2」ボタンも存在し、異なる高さを記憶したい場合にはこちらを利用することができます。これらの記憶機能を上手に活用すれば、作業効率を向上させ、スムーズな荷物の積み降ろし作業が可能になります。

操作ボックス

トラックのエアサスには、リモコン以外にも操作ボックスを使って操作する方法もあります。

操作ボックスを使う場合、コネクタを差し替えることでエアサスペンションを操作することができます。この方法を利用することで、トラックの後方からエアサスペンションを調整でき、特に荷物の積み降ろしやトラックの車高調整が必要な際に便利です。

トラックのエアサスが故障してしまった場合は?

エアサスペンションは多くのパーツで構成されており、そのために故障や寿命を迎えることがあります。エアサスペンションの故障はエア漏れやベローズの故障などさまざまな問題を引き起こす可能性があり、修理が必要となることがあります。

エアサスペンションの修理は手間がかかる上に困難な作業となることがあります。そのため、普段からトラックの運転や荷物の積載に関して過積載や無茶な運転を避け、定期的な点検とメンテナンスを行うことが非常に重要です。早期に不具合を検出し、修理を行うことで、エアサスペンションの寿命を延ばし、トラックの安全性と信頼性を確保できます。

また、定期的な点検とメンテナンスによって、エアサスペンションのパーツの摩耗や劣化を早めに発見し、予防的な交換や修理を行うことができます。これにより、トラックの運行中に大きなトラブルが発生するリスクを低減できます。

まとめ

トラックのエアサスペンションは、充填する圧縮エア量を調整することで車高を上げたり下げたりする非常に便利な機能を備えています。このエアサスペンションはさまざまな場面で活用でき、その柔軟性と機能性により、トラックのドライバーや作業員に多くの利点をもたらします。

エアサスペンションをリモコンで簡単に操作できるため、車高の調整が非常に簡便です。また、車高を記憶できる機能があることから、特定の高さを繰り返し設定する必要がある場合でも、ボタン一つで過去の設定を呼び出すことができます。これにより、作業効率が向上し、荷物の積み降ろしや特定の作業状況に適した車高を簡単に設定できます。

エアサスペンションはトラックの運行と作業において非常に重要な役割を果たし、安全性と効率性を向上させるのに貢献しています。そのため、適切な操作とメンテナンスにより、エアサスペンションの機能を最大限に活用しましょう。