トラックのDPFとは?どんな役割?故障の症状や原因、対処法を解説!

目次
トラックのDPFとは
トラックのDPFとは、Diesel Particulate Filter(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の略で、排ガス浄化装置を指します。このDPFは、ディーゼルエンジンを搭載したトラックが排出する有害物質、例えばススなどをフィルターで捕集し、運転中に燃焼を行って大気中に排出しないようにする重要な装置です。
ただし、この排ガス浄化装置はトラックメーカーによって名称が異なります。たとえば、「三菱ふそう」と「UDトラックス」ではDPFを採用していますが、「いすゞ自動車」などはDPD(PM微粒子除去装置)を、「日野自動車」などはDPR(排ガス浄化装置)を設置しています。こうした違いがあるものの、一般的にはDPDやDPRを含めて、総称してDPFと呼ばれています。
トラックのDPFが故障したら?症状や対処法を確認
トラックのDPFが故障した場合の症状について解説していきます。
DPFが故障すると、フィルターの効果が低下し、自動浄化機能が機能しなくなり、排ガス浄化ができなくなります。
DPFが故障した場合、DPFマフラーが詰まったことを示す合図として、インジケータランプが点灯します。このランプの点灯は、DPFの健康状態を示す重要なサインですので、必ず確認してください。
インジケータランプが点灯した場合、DPFの再生作業をできるだけ早く行う必要があります。
対処法はメーカーによって異なりますが、ほとんどの場合、インジケータランプが点滅し始めてから走行約50km以内に手動再生を行わないと、ランプが点滅から点灯に変わり、エンジンが制御されて排出ガス浄化装置スイッチが機能しなくなることがあります。
再生作業は以下の手順です。
- トラックを停車する
- アイドリングを高回転で保つ
- インジケータランプとDPF再生ボタンを押す
ただし、これはインジケータランプが点滅しているときのみの対応となります。
インジケータランプが点灯に変わってしまった場合、自分で再生することは通常不可能です。そのような場合は、ディーラーや専門の整備工場で修理およびメンテナンスを行う必要があります。
DPFの専門知識と特殊な設備が必要なため、熟練した技術者による作業が必要です。早めにプロの手で修理およびメンテナンスを行うことが、トラックの正常な排ガス浄化とエンジンのパフォーマンスを維持するために重要です。
トラックのDPFが故障する原因予防策は?

ここからはトラックのDPFが故障する原因と予防対策について解説していきます。
トラックのDPF故障の原因とは
トラックのDPFの故障の主な原因を挙げていきます。
エンジンの回転数を上げないことが多すぎる
渋滞が多い場所を走行することが多かったりする場合はエンジンの回転数を上げることが難しいため、このような条件下でのトラック運転はDPFのセルフクリーニングをスムーズに進行させるのが難しいことがあります。
したがって、頻繁に渋滞に巻き込まれる場合、DPFの再生が不十分になり、最終的には故障の原因となる可能性が高まります。
排ガス温度が十分に上がりきらない状態で走行することが多い
低速走行や短距離走行などでは、通常排ガス温度が適切に上昇しないため、DPFのセルフクリーニングがスムーズに進行しにくくなります。
このような走行が日常的に多い場合、DPFの再生が不十分になり、故障のリスクが高まります。
アイドリングやエンジンの始動停止が多い
エンジンの頻繁な始動と停止、または長時間のアイドリングが繰り返される場合、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)に粒子状物質が蓄積しやすくなり、最終的に故障の原因となる可能性が高まります。
この場合、排ガスが十分な温度に達せず、DPFのセルフクリーニングが効果的に行われないため、フィルター内の粒子が堆積しやすくなります。
DPF故障を予防するには?
もしもトラックのDPFが適切に自己クリーニングを行える状態であれば、ほとんどの場合、故障のリスクは極めて低いです。
DPFの自己クリーニングを最適な状態で実現するためには、高速道路などで高回転の運転を行い、排気温度を高めることが非常に重要です。
トラックのDPFが故障した時の修理費用はどのくらい?
トラックのDPFが故障した場合、ディーラーや専門の整備工場で修理や部品交換が可能です。
ただし、車両のタイプによって修理費用は異なり、一般的には40万円から100万円程度が目安とされています。
トラックのサイズに応じて、2tトラックの場合は約40万円(部品代)、4tトラックなら約60万円(部品代)、10tトラックなら約100万円(部品代)が必要とされます。この金額に工賃が加算されるため、全体的に高額な費用がかかることになります。
さらに、修理作業完了までに通常3日間ほどの期間がかかるため、事業用トラックの場合は修理期間中は休車する必要が生じます。
費用と期間の両面で大きな負担となることから、DPFの修理が必要な場合は、トラックの買い替えを検討することも一つの選択肢として考える価値があるかもしれません。
まとめ
トラックのDPFは、排ガス浄化装置である「ディーゼル微粒子捕集フィルター(Diesel particulate filter)」の略称で、排気ガス中の有害物質を捕集し、運転中に自動再生による燃焼などを行い、大気中への排出を防ぐ重要な装置です。
なお、この排ガス浄化装置はトラックメーカーによって異なり、DPD(PM微粒子除去装置)やDPR(排ガス浄化装置)などの異なる装置も存在しますが、これらをまとめてDPFと呼ぶことが一般的です。
インジケータランプが点滅すると、エンジンが制御される可能性があるため、できるだけ早くDPFの再生作業を実施する必要があります。
しかし、インジケータランプが点滅から点灯に変わると、ディーラーや専門の修理施設で修理や部品交換が必要となり、これに伴う費用は高額です。そのため、トラックの代替案として乗り換えを検討することも賢明かもしれません。
その場合はおすすめ専門業者に相談してみましょう。